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吉野酒造株式会社は房総半島、勝浦で1830年から酒造りをする伝統ある蔵元。
地元産の選び抜かれた素材を生かした清酒の製造の他に、リキュールも開発するなど、高い技術を持った職人の手造りで腰古井というブランドを守り続けています。
吉野酒造では、醸造スタッフ、製造スタッフ、事務スタッフとして一緒に働く仲間を募集します。
歴史ある吉野酒造を率いているのは、13代目にあたる吉野慎一さん、直子さんご夫妻。快活に笑うご主人と、裏方をしっかりと支えるおかみさんと言った印象のお二人です。
社長である慎一さんに、吉野酒造の社風を伺いました。
「東京で勤め人をしていた僕が、吉野酒造を継いだのが16年前。その前までと、今と、だいぶ蔵の雰囲気や方針は変わりました。うちで大切にしているのは、社員一人ひとりが自分たちで考えて、動くこと。やりやすいようになるのも、大変になるのも、自分たち次第です」
歴史が長い酒造りの世界では、今でも厳しい縦割り構造が残る蔵も多いそうです。しかし、時代の流れとともに業界は人手不足に悩まされるようになりました。慎一さんが蔵を継いで一番に悩んだのも、人を雇用し、長く働いてもらうということでした。
「昔は、酒屋といえば番頭さんやお手伝いさんがいて、使用人は裏から回れなんて言われる時代もあったらしいけどね。でも今はそうじゃない。それじゃ仕事の効率が上がらないし、続かないんです。頭ごなしに怒鳴ったり、指図しても仕事してる方としては面白くないから。自分たちで考えて工夫してやるのが面白いんだよ。それぞれの得意分野を生かしてね」
逆境を乗り越えるため、古い風習を壊すことを選んだ結果、経営者と従業員の垣根を越えてコミュニケーションを大切にする吉野酒造の独自の社風が生まれました。
「人があっての会社だから。働いてる人の気持ちや思いが、酒になって相手に伝わるものだと思う。喧嘩ばかりしてるような酒蔵の酒はダメなんじゃないかな。酒造りには『和醸良酒』という言葉があって、和で醸すんですね。心を合わせてやってく中で良いお酒ができてくる」
酒蔵では、お酒の醸造を担う蔵人、出荷出来るよう最終製品にする製造、営業、配達や事務など、様々なポジションの社員が活躍しています。力仕事の多い職場のように思えますが、女性でも働きやすいよう、台車を各所に配置するなど工夫しているそうです。
製造の現場で働く若い女性社員は、元々サーフィンが趣味で、太平洋に面した温暖で波乗りの環境に最適な外房、勝浦の隣町に移り住んできた方もいるんだとか。
「はじめはアルバイトから始まったんだけど、そのうち正社員になって。すごくしっかりやってくれてて、もう工場長の補佐だよ」
仕事終わりに海に行ける環境が魅力的と言います。仕事とプライベートを楽しんでいる方も多いそうです。
社員のみなさんに職場の雰囲気を伺うと、「アットホーム」と答えてくれました。
「思ってることは言ってくれってみんなに話してあるからね。ああしてほしいとかこうしてほしいとか、結構みんな言ってくるよ」
日常業務のオペレーションは、社員で回して、問題があったら自分たちで改善するというチームワークが根付いているそう。その上で、困ったことがあればいつでも慎一さんや直子さんに相談できる信頼関係があることが、スピーディに仕事ができる理由です。
土曜日も営業する酒蔵もあるなか、吉野酒造では土日休を取り入れています。繁忙期以外は、ほぼ定時退社。
「前は土曜日もやっていたんですけど、なんとか土日休に出来ないかなかなと思って。残業しない分、業務時間内にしっかり効率よく仕事しましょうってやってますね」と直子さんが教えてくれました。
20代前半から60代まで多様な年齢、経歴の社員がいるなかで、全員に共通するのは、「自分で仕事を工夫し、和を大切にする姿勢」だそうです。
実際に、蔵の中を取材させていただいている間、慎一さん、直子さんと従業員の皆さんがとても和気藹々と話をしている様子が印象的です。
吉野酒造の銘柄である腰古井は、南部杜氏(とうじ)をはじめとする蔵人
(くらびと)と呼ばれる日本酒の醸造工程を行う職人集団と吉野酒造の自社の蔵人が協力して造られます。南部杜氏の歴史は300年以上。酒造りの季節である冬の間、毎年岩手から腰古井に来て、春先まで蔵に泊まり込みで作業をします。
自社での蔵人として酛(酒母)造りを5年務める加藤さんにお話を伺いました。
加藤さんは元々酒造会社の工場で働いていましたが、ずっと現場の仕事をしていきたいという希望により退社、昔ながらの酒造りの世界に飛び込みました。
「ある時テレビかなんかで、酒蔵の仕事の特集を見たんですよね。半年間休みなし、超厳しい縦割り社会の中で、何百年も伝統を守ってきてるっていうので。これ、どれくらい厳しいのかな、って。興味本意だったのがはじまりですね。あまりにも厳しいから、みんな辞めてっちゃって残らないらしいんですね。だったら、自分は頭も学歴もよくないけど、ただ耐えればいいんであれば楽だなと思ったんです」
自分の腕で一人前になりたい。現場仕事が好き。そんな気持ちで蔵の扉を叩いた加藤さん。
ー実際に入ってみて、蔵の仕事はどう感じたんでしょうか?
「覚悟してたんですけど、入ってみたら、これがむちゃくちゃ厳しいんですよ」
「例えば櫂入れっていう酒をかき混ぜる作業では、ほんの5センチか10センチ、手の動きが変わっただけで酒が本当に変わっちゃう。でも聞いても教えてくれないんですよね。昔の人って。ある程度こちらの働きぶりを見てて、脈があるなって思ったら初めて教えてくれるんですよ。だからずーと掌に豆ができるまで櫂棒をついて、師匠のやりかたを見て学んできましたね」
「ただ、若い人にそれを求めようとは思わないですね。自分たちのしてきた苦労は。今は酒造りの時代の転換期なんだと思うんです」
—蔵仕事のやりがいを教えていただけますか?
「自分の理想に近いお酒ができた時は嬉しいです。そして何と言っても、作ったお酒を人に飲んでもらって『おいしい』っていうその4文字のために半年間、昼も夜もなく働いてます」
蔵人として働く人の来歴は本当に様々。高卒の方もいれば、全く別のキャリアを歩んできた後に酒造りの世界に飛び込む方も珍しくないそうです。全員に共通することは、お酒が好きであること。お酒が好きで、どうしても自分で造りたいという熱い気持ちを持っている、と加藤さんは言います。
「それから、南部流っていう流派は、300年の歴史があって、その歴史を紡いでいく面白さがあります。自分が残していって、次の世代に橋渡しができるのもやりがいじゃないですかね」
昔ながらの製法を守り続けている吉野酒造。昔ながらの酒造りの蔵道具も、もうあまり残っていないため、大切に手入れをして受け継いでいます。
「蔵道具って頑張れば100年ぐらいもつんですよ。釜とかも。でもちょっとした不注意で、例えば水入れないで空焚きしちゃったりしたら壊れてしまう。そうなったらもう直らない。そういうことがいっぱいあるんです。壊さないで、100年後に酒造りを志す人に残す。技も含めて」
「私はこれまで名杜氏と呼ばれる人に教わってきました。そういう人はみんな紡いでいくということを意識していたように思います」
加藤さんたち酒造りの職人さんの目には、今だけでなく100年先に酒造りを行う仲間の姿まで写っているようです。
ただ、これまで常識だった厳しい上下関係の世界は、もう転換期なんだと言います。自分たちが味わってきた厳しさ、苦労をそのまま若い人に求めるのは違うのではないかと。
「私たちが教わった杜氏さんたちは、みんな引退してしまったんですね。新しい世代を作らなくちゃいけない。私たちが技術は受け継ぎました。それをまた後継の世代に、なるべくすれ違いにならないように、時間をかけて育てていきたいと思ってます。厳しい部分も時には必要と思いますけど、教えるということも大切にしていきたい」
「腰古井に関してはそういう環境があると思っています。ただ闇雲に厳しいだけじゃないんで、入ってきた人はやる気さえあればモノになる。面白い蔵だなあと思いますよ」
蔵人の仕事は、掃除からはじまります。仕事の半分を占めるというくらい、蔵仕事では掃除が大切。環境が悪いところではいいお酒ができないからです。それができるようになってくると、今度はお酒の動かし方。酸化しないように空気に触れないように動かすにはどうしたらいいかなど、細かいところを教わっていきます。
—1人前になるには、どれくらいかかるのでしょうか。
「周りが見えるようになるまで大体3年はかかと思います。3年経つと、酒造りというチーム戦で自分がどう動けばいいか言われなくても分かってきます。すると、楽しくなってくるんじゃないでしょうか」
—仕事の全体が見えるようになるまで3年ですか。
「職人には、3年間のもどかしさっていうのがあった方が良いと思うんですよ。自分が何もできないということを思い知って、そこで謙虚になるチャンスです。修行期間を経て、入ってきた時はなにもできなかったのに、ああ動けるようになったっていう喜びがある。もどかしさの中でどのくらい自分のバネを縮められるかによって、解放された時に成長出来るかどうかが決まってきます」
—酒造りに挑戦しようとしている人に、メッセージをお願いします。
「若い人は職人の世界に飛びこんでこようと思う人が少ないのかな?でも、だからこそやりがいがあるっていうのはありますよ。10年この世界でやってけば、日本中どこにいっても食っていけますしね。自分に自信も持てます。酒造りって本来楽しいものなんですね。それも体験してもらえると思います。失敗しても、ミスをしても、頭が悪くても、本気だったらものになります」
若い人のチャレンジは精一杯応援したい。そしていい酒を一緒に造っていきたい。静かな口調に酒造りへの情熱をいっぱいに込めて語ってくださいました。
最後に、いつも慎一さんの傍らで社員を見守ってきた直子さんに、酒蔵で働く上で大切なことを教えていただきました。
「いい仕事ができるようになるには、『蔵に馴染む』ってことが必要なので、数年は、続けてほしいなと思います。杜氏さんが率いる南部の蔵人さんたちは同郷の誼みであり、共に酒を造る仲間としてのチームワークが絆の上に自然に成り立っています。その人たちと協力し合ってお酒を造る上で、お互いの人となりを知ることはとても大切なんですよね。蔵人さんたちが一日の仕事を終えて、お夕食の時に晩酌を共にする束の間、ホッと和らいで自社の蔵人と共に、和気藹々と楽しそうにしてる様子だったら、ああ今年のお酒造りはうまくいってるんだなあ、って安心するんです」
様子を見ながら、じっくり醸していくのはお酒も人の和も同じ。時代の流れに寄り添いながら、吉野酒造は変わらぬ大切なものを守り続けています。
求人募集要項 | |
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企業名・団体名 | 吉野酒造株式会社 |
企業・団体情報 | 【業種】清酒製造業 【設立】1830年 【施設】酒蔵2棟 |
募集職種 | ①蔵人/清酒製造職人、酒造工 ②製造/日本酒の製品化、工場全体管理、品質管理 ③事務職/一般事務 |
雇用形態 | 正社員(試用期間3ヶ月) |
仕事内容 | ①仕込み時期(秋冬)は、精米、麹づくり、酒母づくり、もろみ管理、搾り、火入れといった酒造り工程の中で、南部杜氏の指示をもとに担当を分け、自工程を責任をもって担当いただきます。 春夏は、お酒の品質管理、秋冬に向けた準備、梅酒・夏みかん酒づくりを行います。 ②30代工場長の補佐として、製品工程全般を担当していただきます。 杜氏、蔵人が丹精込めて作った清酒の品質管理、製品化に向けたビン洗い→瓶詰め→ラベル貼り→検品・出荷、清掃他業務となります。 ③一般電話応対、納品請求書、見積書作成、データ入力など基本的な事務作業と入荷、商品搬入の手伝い、商品在庫確認や出荷作業準備まで行います。 |
採用人数 | 若干名 |
給与 | 月給205,000〜305,000円 |
福利厚生 | ・賞与あり ・社会保険あり(厚生年金、健康保険、雇用保険、労災保険) ・住宅補助あり ・退職金あり ・各種手当あり(交通費・家族手当・養育手当・特別手当・責任手当・営業手当) ・移住支援あり |
勤務地 | 千葉県勝浦市植野571 |
勤務時間 | 8:00 ~ 17:00 (休憩60分) ほぼ残業無し。但し、繁忙期(11~12月)は残業の可能性があります。 ※①<秋冬の勤務時間目安> 5:30~17:00 (休憩:午前90分、午後2時間) |
休日・休暇 | 土・日/年間104日 基本的には休日出勤はありません。但し、繁忙期(11~12月)は休日出勤の可能性があります。 |
住宅 | 移住支援を行っています |
募集期間 | 〜2019/3/20 |
応募資格・選考基準 | ・未経験者歓迎 ・体力に自信があり、素直な気持ちで積極的に、オールラウンドで仕事に取り組める方を求めます。現場はチームワークで成り立っているため、人と人との「和」を大切に、協力体制を築けることが求められます。 ・素直さと謙虚な気持ちで取り組んで頂けること。 |
選考プロセス | 1.本サイトからのお申し込み 2.書類選考 3.面接 |
その他 |