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隠岐・西ノ島町は島根県本土から船で3時間、都会の喧騒とは無縁ののどかな離島。南岸には島前3島に囲まれた穏やかな海が広がり、北部には良い漁場がある。島中央の地峡部を南北に貫く船引運河が開通し、漁業で栄えた町。
そんな隠岐・西ノ島町の漁業を支えているのが今年で設立して11年になる日本海隠岐活魚倶楽部。離島のハンデを克服し漁業者の所得向上のために何ができるのかを日々追求し、共存共栄の関係性の中で常に挑戦し続けてきた水産会社です。
今回は、離島のハンデを乗り越え、挑み続けられる従業員を募集します。
日本海隠岐活魚倶楽部は漁業者が抱えている課題解決のために設立したそうです。
のどかな離島は都会と違って交通の便や特産品がないというハンデを抱えることが多く、西ノ島町も多くの離島と同じような悩みを抱えていました。当時、町役場は特産品がない西ノ島町をどうやってPRしていけばいいのか頭を悩ませ、漁協も同様に魚の単価が低下したことで漁業者の生活を守るためにもなんとか魚介類の高付加価値化、ブランド化は出来ないかと苦悩する日々を送っていたそうです。
代表取締役社長の徳若さんが当時の苦労を笑顔で語ってくれました。
旧・浦郷漁協参事、しまね浦郷漁協支所長を経て現職。漁協では設備導入、船の購入する際の融資など金融をメインに39年間勤め上げる。この町の船のほとんどに携わっていたという。この危機に対応すべく代表取締役に就任。
「この島は漁業ありきだからね。漁師さんがいないと成り立たない。ずっとこの島の漁業に関わってきたからこそ、なんとかしないといけないと責任を感じたね」
徳若さんは危機感が日増しに募っていく中、町役場と漁協、そして漁業者と一緒にイカを特産品にするプロジェクトチームを立ち上げます。実は西ノ島にはイカにまつわる伝説が数多く残されていて、西ノ島に建立されている由良比女神社には漁業神、海上守護神が祀られ「イカ寄せの浜」の伝説が残されています。このイカをヒントに徳若さんは西ノ島町を守ろうと動き出します。
しかし、高付加価値化はとても難しく、なかなか良いアイデアにたどり着きません。魚介類の単価を上げると共に、離島のハンデを克服する必要があったためです。やはり離島から魚介類を送ると送料が高くなり、鮮度も落ちてしまうのでどうしても競争に勝つには決め手に欠けます。日本中の水産加工会社を視察し、離島のハンデを克服する技術を探し回りました。そして、新鮮な魚介類を生きたまま発送することの出来る「活パック」の導入を決めたそうです。
当然、イカや魚が生きたまま確実に届けるのは容易ではありません。
「温度管理、水質管理、どこまでの距離であれば生きたまま届けられるのか、雪や台風で陸路の輸送が遅れたときはどうやって対処するのか、技術導入の壁は高かったね。何度も何度も実験をしてイカが一番いい状態でお客さんに届けれるように工夫したよ」
生きたままの魚介類を本土の飲食店に直送するシステムを実現したことにより、少し高くても取り扱ってくれる飲食店が増えてきているそうです。いまでは継続的に普段の相場よりも高く漁師さんから買い上げることができるようになり、漁業者からも喜ばれています。
そこから時化や台風で水揚げがない時にも安定して発送できるように円形水槽を設置。漁師さんが一本釣りで、傷つかないよう丁寧に持ちかえった魚介類を生きたまま保管しています。これも隠岐・西ノ島町のブランドを高めるための工夫の一つ。
そして、取引先から発注があると専用パックに入れて出荷します。イカは水質変化に特に敏感で扱いが難しいため、丁寧に扱わなければいけません。徳若さんはこの水温管理を徹底し、イカだと36時間、魚は48時間は生きた状態で輸送できるようになりました。主に高級魚を扱うことで寿司屋や料亭に出荷されています。
旬の海産物を通年出荷するために、次世代の冷凍技術であるプロトン凍結機も導入したそうです。プロトン冷結機とは磁力と電磁波により食品中の氷の粒を小さく均等にすることで解凍してもドリップが出にくく、商品の風味が損なわれない凍結機です。水槽から水揚げしすぐに冷凍することで鮮度の極めて高いイカを冷凍することができます。この冷凍のイカは、大変人気があり居酒屋を中心に大口注文で完売状態になるそうです。
「ここまで質の高い冷凍のイカは日本中を探してもなかなか見つからないだろうね」
徳若さんが自慢げに説明してくれました。
プロトン冷結技術は活パックとともに「西ノ島町の海産物の魅力」を伝えていく技術です。他にも岩牡蠣をプロトン冷凍し、ストックしておくことで旬ではない季節にも出荷できるようにしているそうです。日本海隠岐活魚倶楽部では岩牡蠣が水揚げされる3月から6月の間の旬の岩牡蠣を冷凍保存しています。
岩牡蠣が旬を迎え繁忙期で忙しい中、従業員の垣見さんが答えてくれました。
ITバブル時代、大阪で友達4人と周辺機器の会社を設立。18年働いた後、西ノ島にUターンし日本海隠岐活魚倶楽部に就職。
「岩牡蠣のシーズンは岩牡蠣だけで出荷5万、冷凍3万ほど用意するので春が一番忙しいね。最近は岩牡蠣の認知度も上がってきているから」
丁度、出荷シーズン。注文が後を立たない。
平成4年に日本で初めて岩牡蠣養殖に成功した西ノ島町の養殖技術はいまもなお島の漁業を支えています。西ノ島ではこのブランドを守るためにも衛生管理に特に力を入れているそうです。その新鮮さから、生食用のものしか出荷しないというこだわり。
海域も定期的に検査をし、何かあればすぐに対処できるようにしています。出荷する岩牡蠣も検査しなければ出荷はできません。徹底した安全管理の意識が岩牡蠣の信頼につながっています。最近ではオイスタバーなどが都心で人気が出てきている背景もあって、岩牡蠣の需要が伸びているそうです。
垣見さんにどういった人が向いているか聞いてみました。
「真面目過ぎず気さくな人やな。漁師さんや漁協との関係をつくらなきゃいけないからね。あと、釣り好きにはもってこいの仕事かも。西ノ島の近海は魚介類が豊富だから釣りが好きでこの島に移住してくる人も少なくない。うちで働けば、自分で釣って自分でお客に届けることもできる。最近はイカを自分で釣ることが多くてね、どっちが本業かわからなくなるときもあるくらい」
この仕事で、難しいところはどこでしょうか?
「漁業はどうしても自然に左右されてしまう仕事。海が時化れば魚は流通しなくなるし、海産物が旬を迎えれば、大量に水揚げされるから忙しくなるんだよ。」
海に関わる仕事の難しさが垣間見えます。
「だからこそ普段からお客さんとコミニケーションを取るようにしてる。取引先は旬や質を気にしているから、質の良いものや数がまとまって入るたびに電話をかけるよ」
常に相手が何が欲しくてどれくらいの量を必要としているのかを知ることが大切なようです。
西ノ島町は人口3000人のとても小さな町。昔は漁師さんの数も多く、日本でも有数の漁師町だったそうです。いまでは漁師さんの数も減ってきているので昔のような活気はないと徳若さんは言います。
「地元産の商品しか扱っていないから漁師さんが減るのはうちにとっては最大の問題なんだよ。漁師さんが潤うってことは、うちも潤う。漁師さんと共存共栄なんだよ」
「うちとしては安く仕入れて、高く売りたいというのが本音。でもそれをしてしまうと会社を設立した意味がなくなってしまう。あくまでも地元漁師さんのためじゃないと。でも、会社の経営のこともある。そのことに頭を悩ませているね」
こうした課題を解決するため、徳若さんは若い漁師さんが西ノ島町で働きやすいように雇用や福利厚生の制度を行政、漁協と協力して整えているそうです。
「漁師さんの所得が上がり、若い人にとって魅力的な職業の一つになってくれればと思う。そのためにも努力と工夫を続けていかなければならない。隠岐の魚は美味しいんだから。」
ずっと昔からあり続けたこの島の風景を地域の漁師さんと一緒に守りたい。漁師の事情、離島の事情、日本海の時化、変えられない厳しい条件があっても、西ノ島のためにできることを考える社長の背中は頼もしい。
日本海はよく時化る。海が時化ると海に出られない日が続き、水揚げがありません。どうしても魚の水揚げ量は安定しにくいところがあるようです。徳若さんはそうした日本海の事情に理解のある取引先を大切にしていかなければならないと言います。
「正直、離島から魚介類を仕入れる必要はない。流通が発達してきているから、新鮮な海産物も近くの市場で手に入るからね。それでも西ノ島の海産物を買ってくれる客さんは事情を理解した上で取引してくれている方が多い。だからこそ大切にしていきたいんだよ」
「ただ、離島であるがゆえにお客さんとのコミニュケーションの機会が極端に少ない。だから、本土に出れば取引先への挨拶回りもする。お客さんに顔を覚えてもらって、情報交換や交流を深める活動を今後も継続していかなければならないからね。お客さんの欲しがっている商品や提案をビジネスに繋げていく大切な場だよ」
魚介類の新鮮さ、質の良さはもちろんだが、背景を大切にするお客さんが活魚倶楽部を支えているようです。
最後に、どんな人と仕事をしたいですか?
「水産加工の会社だけど、その業務は驚くほどコミュニケーションが求められる。やっぱり漁師さんや漁協の職員、地元の人と仲良く仕事をして欲しいね。東京や大阪のイベントや商談会に定期的に参加するから営業もある。そこで、西ノ島の背景を踏まえつつ、商品の良さをアピールしていける人だね。だから、まずは西ノ島を好きになって欲しい」
日本海隠岐活魚倶楽部は離島のハンデを超えて、これからも挑戦し続けるでしょう。
離島の小さな会社だからこそ、自分の裁量で行動できます。自分の裁量で漁業に携わるところにやりがいを感じて欲しいと思います。
求人募集要項 | |
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企業名・団体名 | 株式会社 日本海隠岐活魚倶楽部 |
企業・団体情報 | 【設立年月】 2011年 【資本金】 10,000,000円 【従業員数】 2名 【設備】 活魚水槽、プロトン凍結機、活パック機 |
募集職種 | 卸売業、小売業 |
雇用形態 | 正社員 |
仕事内容 | ・海産物の仕入出荷販売 ・海産物の管理、冷凍作業 ・電話対応・メール対応・商品発送・事務作業等 ・観光交流センターの管理(町からの指定管理) ・キャンプ場の管理(町からの指定管理) |
採用人数 | 2名 |
給与 | 月給170,000〜 |
福利厚生 | ・賞与年2回 ・社会保険(雇用保険、労災保険、健康保険、厚生年金) ・年金(厚生年金) ・退職金あり |
勤務地 | 島根県隠岐郡西ノ島町浦郷544-38 観光交流センター内 |
勤務時間 | 8時00分-17時00分(昼休憩1時間) ※天候・季節・状況に応じて変動あり |
休日・休暇 | 週休二日 交代制勤務 有給休暇あり |
住宅 | 町役場が対応します。 ※周辺家賃相場:2万円/月~5万円/月程度 |
募集期間 | 〜2018/12/30 |
応募資格・選考基準 | ・新しいチャレンジをしてみたい方 ・海が好き、釣りが好きな方 【必須要件】 ・普通自動車運転免許(AT限定可) |
選考プロセス | 1.本サイトからお申込み 2.書類選考 3.面接 ※不採用理由についてのお問い合わせはにはお答えできません。 |
その他 |