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地域の人々全てが主役
関係人口づくりとは

2019年6月11日に安倍首相を議長とする「まち・ひと・しごと創生会議」が開催され、「まち・ひと・しごと創生基本方針2019(案)」が発表されました。この案を元に、年内に2020年から2024年までの活動方針である第2期「まち・ひと・しごと創生総合戦略」が策定される予定です。

今回は2020年までの活動方針である第1期「まち・ひと・しごと創生総合戦略」との変更点の中で“関係人口”というキーワードを中心に考えていきたいと思います。

新たに示された地方創生の視点

今回の案で示された新たな点は以下の通りです。

 

 

 

関係人口やSDGsなど、追加されたものがいくつかあります。(SDGsコラムはコチラ

今回注目していただきたいのは「将来的な移住にもつながる関係人口の創出・拡大」という点です。関係人口という言葉はみなさん耳にされたことがあるのではないでしょうか。

関係人口に関しては総務省の『関係人口』ポータルサイトでその定義とイメージ図が示されています。このように関係人口とは、定住はしていないものの、その地域と何かしらの関わり、つながりを持つ人のことを指します。

 

関係人口とは、移住した「定住人口」でもなく、観光に来た「交流人口」でもない、地域や地域の人々と多様に関わる人々のことを指します。

 

出展:総務省 地域への新しい入り口『関係人口』ポータルサイト

 

 

 

関係人口が注目される理由


なぜ今回の案で関係人口の創出と拡大という文言が盛り込まれているのでしょうか。そこには、地方からの人口流出が続いている現状があると言えます。

そもそも第1期「まち・ひと・しごと創生総合戦略」では東京一極集中の是正という目標が掲げられていました。その目標達成のためにこの5年間、地方への人材還流や人口流出防止策など様々な施策が取られて来ました。

地方に住む人にとっては地域おこし協力隊などが身近だと思います。実際地域おこし協力隊の人数は年々増えて来ており、定住率も6割を超えるなど、移住に関して一定の成果を収めていると感じます。(地域おこし協力隊のコラムはコチラ

 

 

 

 

制度が始まった時と比較し、約50倍の隊員が現在活躍しています。また総務省は2018年に今後6年間で地域おこし協力隊を8千人にまで拡充する目標を掲げており、今後も活発な取り組みが期待できます。

では、人口の流出はどのようになっているのでしょうか。下記の図を確認いただくとわかるように、東京一極集中の流れは年々増加している傾向にあります。つまり現在の移住政策だけでは、東京一極集中の是正が難しいのです。そこで注目されだしているのが“関係人口”というわけです。

 

 

関係人口を増やすことの目的

 

この図によれば関係人口を増やすことの目的は地域課題の解決と将来的な移住です。以前から推進している移住施策と、今回の関係人口の創出、拡大の方針を合わせて推進することで、より地域と関わる人材増加、ひいては人材の還流を進めていく構えをとっています。

 

関係人口づくりは誰でも参加できる


今までの移住施策では自治体が開催する移住相談会や地域おこし協力隊の募集、また地方企業が行うUIターン採用活動、それ以外には私たちが運営するlocal terasuなどの移住希望者向けの情報サイトなど、自治体や企業がメインとなる場合が多いです。

それと比較して関係人口づくりはもっと多くの人が参加できるものとなっています。

上記の例に上がるものは地域団体や、内容によっては住民個人でも企画運営できるものです。副業兼業で言えば、企業はUIターン採用活動よる正社員雇用よりも低コストで取り組むことができます。これらから関係人口づくりの方が取り組みやすいことがわかります。

つまり関係人口づくりにおいては、自治体や企業はもちろん、地域おこし協力隊員でも、個人の農家でも、主婦や子供でも、想いを持った人ならば誰でも主役となって取り組むことができるものなのです。


 

関係人口づくりに取り組もう


ではそんな関係人口づくりにおいてどのような取り組みを行っていけばいいのでしょうか。

関係人口づくりにおいて、関係を持つ深さによって取り組む内容、ハードルも変わって来ます。一番取り組みやすいのはオンラインでの関係人口づくり、言い換えれば“知ってもらう関係人口づくり”だと思います。例えば地域のお祭りや日々の営みなど、地域の近況をSNS等で発信することで、現地に行かなくても、地域の情報を知り、身近に感じる機会を作るといったものです。

実際“知ってもらう関係人口づくり”にはすでに取り組まれている方は多いと思います。

しかし今回の案ではその一歩先 “リアルで関わる関係人口づくり”が求められています。

“リアルで関わる関係人口づくり”では人を地域に呼び込み、住民と触れ合い、関わりを持っていくというものです。体験型のツアーや副業兼業などがこれにあたります。移動にかかる時間や費用の問題など取り組むためのハードルは上がるため、アイディアはあるけれども行動できていないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

今後は国として“リアルで関わる関係人口づくり”への取り組みを加速させようとしているので、補助金や、相談に乗ってくれる窓口などが拡充され、取り組みやすくなることが期待されます。

地域の全ての人々が地方創生の主役になれる環境が整って来ています。まずは“知ってもらう関係人口づくり”を始めましょう。すでに取り組んでいる方は“リアルで関わる関係人口づくり”のアイディアを考えてみてください。

総務省が運営する“地域への新しい入り口『関連人口』ポータルサイト”では関係人口づくりの事例なども紹介されていますので、ぜひご参考にしてみてください。


参考:総務省 地域への新しい入り口『関連人口』ポータルサイト
   内閣官房まち・ひと・しごと創生事務局本部事務局 まち・ひと・しごと創生基本方針2019(案)概要