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地域おこし協力隊の
副業を解禁せよ

 

地域おこし協力隊の導入初期は、国費で賄われる公務員というイメージからか副業は推奨されていませんでした。しかし、最近では副業の基準も緩和されたように見受けられます。あくまでも自治体の長の判断にはなりますが、最近では原則的に認めている自治体が多いのではないでしょうか。自治体と雇用関係がない隊員はもちろん副業可能ですが、行政と雇用関係がある場合であっても起業・定住につながる業務内容であり、地域起こし協力隊の本業に支障のない範囲であれば問題なく副業できるのです。地域おこし協力隊の受け入れに関する手引きに明記されている通り、副業を通じて、隊員が任期中から起業や就業に向けた準備をし、ひいては任期終了後に活動地域への定住・定着を図るためには副業が重要な役割を果たすのです。

一般職非常勤職員については、地公法第38 条において、営利企業等の従事制限が定められており、従事する場合は任命権者の許可が必要とされていますが、 その許可にあたっては、公務に支障を来したりするおそれがないよう十分留意しつつ、勤務形態等を勘案して必要に応じ弾力的な運用を行うことは可能です。 この点、許可権者を現場の状況を把握している所属の管理職とするなど、運用面での効率化を図っている地方自治体もあります。 一般職非常勤職員として任用している隊員についても、許可権者を隊員の普段の活動に精通している担当課の管理職とすることも考えられます。兼業等を通じて、隊員が任期中から起業や就業に向けた準備をし、ひいては任期終了後に活動地域への定住・定着を図ることも重要です。

地域おこし協力隊の受入れに関する 手引き

副業というと、お金を稼ぐ手段だと思われがちですが、協力隊においては副業に伴うメリットが多数存在します。そのため、むしろ副業を推奨している自治体まであるのです。今回は、なぜ地域おこし協力隊にとって副業が必要なのかについて、メリットも踏まえて解説していこうと思います。

 

事業のブラッシュアップに活かす

 

隊員は任期終了後に就職するのか、起業するのかの二つに分かれます。もし、起業する可能性のある場合には、その事業が生業として成り立つかを見極めなければいけません。なぜならば、生業を軌道に乗せることは簡単ではないからです。そこで、まずは副業という形で挑戦し、生業として成り立つかを見極めることが必要なのではないでしょうか。協力隊として活動する傍ら、実際にサービスを提供し試行錯誤を繰り返していくのです。ここで大切なのは無償でサービスを提供するのではなく、収益を発生させるということです。これは、値段に対するサービスの質を見極め、お金を払う価値のあるサービスなのかを知る必要があるためです。任期終了後は生計を立てるために有償化、その途端に誰も買わなくなってしまったなんてことにならないようにしましょう。このように、3年という期限の中で事業をブラッシュアップし起業のリスクを極力下げることができるのです。

 

 

起業がスムーズに

 

当然、起業資金を貯めることにもつながります。協力隊には起業資金として100万円を支給されるのですが、起業には予測できない出費も多く、それだけでは資金が十分とは言えません。特に自治体と雇用関係のない協力隊の場合においては国民保険、国民年金を自己負担になりボーナスもないので、金銭的な面からも副業は必要ではないでしょうか。事業内容にもよりますが、一概にお金を稼いではいけないということではないのです。

また、起業時の融資にも副業は役立ちます。前述で述べたように、副業として事業をブラッシュアップしていくことで、起業前に信頼性のある収益データやニーズを把握することができます。これらの情報は、銀行や日本政策金融公庫から融資に対する信頼へとつながるのです。融資の際に提出しなくてはいけない事業計画にしっかりとした根拠が伴うということは最大の強みと言えるのではないでしょうか。

 

 

隊員の孤独を防ぎ、地域との関わりを増やす

 

協力隊の活動は、隊員が独力で切り拓く面があるため隊員が孤独になってしまうケースが見受けられます。役場と家との往復だけで、外部と交流のない隊員はおそらく定住することはないでしょう。定住率をあげるためには、協力隊の孤独を防ぎ、地域の様々な組織・団体と交流をして活動の幅を広げなくてはいけません。実は副業が、そのきっかけになり得るのです。面識のない人たちに対しては、仕事を通して交流することが一番の突破口になるからです。地方では人手不足が深刻なこともあり、副業したいのであれば引く手数多ではないでしょうか。仕事を通して協力隊の活動では出会わないような人たちと関わることで、隊員の相談相手になってくれたり、友達を作るきっかけにもなるかもしれません。このような仕事を通して構築するネットワークは定住後にきっと役に立つことでしょう。

 

地域おこしの知見が広がる

 

協力隊は自分たちの活動する地域の産業や歴史に対して興味を持ち、地域おこしに対する知見を広げなければいけません。それが、目の前の課題解決だけでなく、新たな課題の発見や活動の軌道修正などにもつながっていくからです。そのためにも副業を通して様々な産業や住民と交流する必要があるのです。そこで得られる知見が、全く予想していなかった新たな展開を見せる可能性もあります。

 

 

このような点を踏まえて、副業するのであれば自治体の担当職員に相談することから始めましょう。副業が原因のトラブルは非常に多く、自治体と協力隊との関係性を壊しかねません。副業にチャレンジできるような任用形態への変更が必要な場合もあるので、まずは相談してみてください。もし副業の内容が定住や起業に関係ない場合であっても、間接的な関係性をしっかり説明さえすれば認めてもらえます。また、場合によっては担当職員を説得することも必要かもしれません。地域おこし協力隊は各自治体への裁量が大きい制度です。より良い体制にしていくためにも、副業の必要性を訴え働きかけていくことが必要です。