地方への移住を検討されている方の中には、都会の生きづらさから解放されたいと考えている方が多いかと思います。日本中どこでも住環境や情報環境が整い、快適な生活を送れるようになった昨今、どの地方でも快適な生活を送れることでしょう。事実、都心の方が豊かに暮らせると言った考え方は次第に薄れ、これまでとはまったく違う環境で生活できる「新鮮さ」を求めて移住を検討する人が増えているのです。
しかも、地方創生の一環として移住者に手厚い制度が整えられていて、高待遇が受けられます。特に過疎化対策が意識されている地域では、UターンやIターンを希望する人への整備がされており、空き家を無料もしくは格安で貸し出したり、仕事の斡旋や紹介したりしているところもあります。地縁のない土地でも自治体レベルで歓迎されていることで、移住のハードルも低いのです。
しかし、移住はいいことばかりではありません。移住が成功したという方の割合は決して高くはないのです。人間関係や仕事の悩み、理由は様々ですが移住して間も無く元いた街に帰る場合もあります。こうした可能性を低くするためには、移住前に正確な情報を元にしっかりと考える必要がありそうです。
過度な期待は禁物!移住の期待と現実
地方移住の前に気をつけてほしいのは「過度な期待」です。移住に対する期待が大きいほど失敗の確率は高くなる傾向があります。もちろん、夢や希望を持って移住してもらいたいものの、やはり期待と現実のギャップに苦労することが多いようです。どうしても求めていたものと違う部分が出てきてしまいますし、そうした困難に遭遇すると裏切られたかの如く地域を嫌いになる方もいます。
田舎は人が優しくて、温かく、人情に溢れた場所だとよく言われますが、あくまでも一般の人間社会です。そこにあるのは自然に育まれた人間社会であり、いい人もいれば嫌な人もいます。期待と違う部分があることも織り込んで移住を検討しましょう。良くも悪くも「人との関わり」が大きくなるので関わる人によって左右されます。地域を一色単に判断するのはやめましょう。
田舎の生活を想像しよう
期待と現実のギャップに悩まされないためにも移住前に一度立ち止まり、どんな暮らしがしたいのかをしっかり想像しましょう。田舎にはいいところも沢山ありますし、田舎だからこその嫌な部分もあります。移住によって何が変わるかを想像することです。窮屈な満員電車での出勤から解放されても、田舎特有のしがらみからは解放されません。腹の立つ上司は少ないかもしれませんが、排他的で頑固な集落のおじいさんがいるかもしれません。当然のことですが、メリットもあればデメリットもあるのです。自分にとって何がメリットでデメリットなのかを天秤にかけてください。まずは、体験移住など地域の雰囲気を実感することや、移住後に関わる人と移住前に関係を深めることが大切です。
田舎では自分から行動を
移住制度を利用すると、行政や移住支援団体が丁寧に移住相談に乗ってもらえるので移住まではスムーズにできます。しかし、移住後は自分から行動していかなければ何も起きません。都会よりも積極的に自分からコミュニティーに参加していかなければならない面があるので、注意が必要です。生き生きと生活を送るためには、垣根を超えて地域住民と交流し、良好な関係を構築することが求められます。面倒な作業かもしれませんが生活をしていく上では必要不可欠なことです。
移住者が多い地域では、移住者で構成されているコミュニティーがあります。人と人を繋ぐ環境が整っているのであれば、そこからスタートするとスムーズに溶け込めるでしょう。積極的に行動しコミュケーションを楽しみましょう。
仕事探しに一苦労、都会とは違う
地方であろうと住み続けるには一定の収入が必要です。補助金に頼って移住しても長くは続きません。心の豊かさや生活費の安さはあるものの、田舎の仕事は都会に比べて賃金が安く、理想の生活とはかけ離れたものになってしまうこともあります。特に若い世代は生活だけでなく、子供を育てて行くだけの所得が必要です。低所得の暮らしを想像しないまま、地方への移住を安易に決めるようなことはやめましょう。移住を考えているのであれば仕事についてのビジョンも必要と言えそうです。
理想の追求
住みたい場所、やりたい仕事、どんな理想も目指してみる価値はあります。人生100年と言われる時代。もっといろんな場所でいろんなことをしてもいいのかもしれませんが、そこにある現実とも向き合う必要があると言えそうです。実際に地方に移住を考えている方は特にこうしたポイントを押さえるようにしましょう。