仕事のカタチが変わりつつあります。現在、政府は多様で柔軟な働き方を追求する「働き方改革」を推進しており、こういった働き方の変化が地方移住へのキーワードになりつつあるのです。
多業(マルチワーク)ってなに?
多業(マルチワーク)は複数の仕事を掛け持ちしている状態であり、時間や季節ごとに様々な仕事を組み合わせることが出来ます。こういった働き方が地方で増加しています。
「多業」とは、1つの“仕事”のみに従事するのではなく、同時に複数の仕事に携わる働き方を指すものとしました。また、収入を得ることを目的として働いているものだけではなく、収入を伴わない“ボランティアやNPOの活動など”も含めて“仕事”と定義しています。
こうした「多業人口」(マルチワーカー)の現状推計と将来イメージを描くと、2006年時点で1240万人となっており、2010年で約1550万人、2030年で約2440万人となっています
副業も似たような概念ですが、副業は本業の他に収入を得る別の仕事をすることです。対して多業は本業を時期や季節ごとに複数持ち、複数の稼げる仕事を組み合わせてポートフォリオを構築することです。また、多業の場合はボランティアやNPOの活動など金銭が発生しない仕事も含みます。
半農半Xなどがいい例でしょう。
兼業農家は本業だけではなく、他の仕事を組み合わせて幅広く働いています。
「X」にあたる部分は人それぞれ。農的生活をしながらNGOで活動する「半農半NGO」や、「半農半ライター」「半農半歌手」「半農半保育士」などさまざまです。
出典:幸せ経済社会研究所
このように複数の仕事を組み合わせて働く事によって無理のないように、効率的に収入を増加させることが可能なのです。多業を通じた創業・新事業の創出や地域、企業の人手不足に対応できるので、人手不足が課題である田舎では理にかなった働き方なのです。
季節ごとに仕事を組み合わせる
工業製品など製造、出荷が安定している仕事と違い、地方の農業、漁業、観光などの仕事は季節ごとに偏ってしまいます。食物には旬があり、観光にはシーズンがあるためです。これらの仕事を季節に応じてうまく組み合わせることで多業が成り立ちます。地方には仕事がないと言われる所以はこのためです。通年を通じた一貫した仕事は少ないですが、季節に応じた様々な仕事が存在し、どの業界も人手不足に困っているのです。
農業
農作物には旬があるため一年を通して仕事があるわけではありません。種類や栽培方法により出荷シーズンが異なります。一年を通して雇用することができず、人手不足になる時期にはバイトやパートを雇うことになります。そのため、四季折々の仕事が存在するのです。農業一本の専業農家もいますが、移住してすぐに農業のみで生活を営むには知識と経験が必要ですからすぐには難しいでしょう。作物の種類を見極め、経験を積んだ上で旬をずらして経営をする必要があるためです。
漁業
海産物にも旬があります。農作物と違い、魚介類は旬の時期のものを冷凍して在庫を確保し、通年を通して販売していく傾向があります。旬の時期には海産物の水揚げの他に、加工品の製造、海産物の冷凍作業など人手不足が深刻になるのです。また、冬の時期は海が時化るので船の大小に関わらず出漁することが極端に減ります。冬場は別の仕事をすることも多いようです。
観光
海が近い地域なら観光シーズンは夏、山間部の積雪量が多い地域であれば冬に観光シーズンを迎えます。日本には四季があるため、どの地域も観光シーズンが偏ってしまいます。観光シーズンになると飲食店や宿泊業が忙しくなり人手不足に陥ります。
多業(マルチワーク)のメリット
多業を通して、地域を幅広く知ることが出来ます。地域の産業を知ることはとても大切なことです。様々な業種の方と交流できるのが最大の魅力で、移住後の人間関係をスムーズに構築できるでしょう。住みやすい環境を築き上げるには多業をすることが役立つのです。